加熱時における木材、鉄、アルミニウムの時間経過と強度変化のグラフ

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建築技術の基礎知識

木造住宅は火事に弱いって本当?|鉄筋コンクリートと比較

管理人 文字実
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木造住宅は本当は火事に強い

木といえば、すぐに燃えるというイメージがあるので、木造住宅は火事に弱いと思っている人が多いです。

しかし、実は、木は鉄やコンクリートと比較しても、強度が弱いということはありません

同じ重量で比較した場合、木は鉄の約3倍の引っ張り強度があり、コンクリートの約12倍の圧縮強度があります。

また、加熱した時の強度に関しても、木材、アルミニウム、鉄を同じ条件で加熱した場合の時間経過による強度変化を比べると、アルミニウムや鉄は短時間で強度が低下するのに対して、木材の強度は急激には低下しません

木は燃えると、その表面が炭化するために、その炭化層が酸素を遮断し、火が木材の内側にまで燃え進むのに時間がかかり、強度の低下を抑えているためです。

ある程度の厚みのある木材の場合、火が内部に燃え進むスピードは 約1分間に0.6mmですので、柱や梁の場合は、30分間くらい火にさらされても、表面から18mmくらいは燃えて炭化しますが、その中身は正常な状態で残っているので、強度を保つことができるのです。

木材はおおよそ10分を経過しても80%くらいの強度を保つことができます。

下のグラフを見ていただければ分かるように、鉄の場合は、5分も経たないうちに強度が半分以下になってしまい、アルミニウムでは5分も経たないうちに強度が20%以下になってしまいます。

加熱時における木材、鉄、アルミニウムの時間経過と強度変化のグラフ

このことから細い鉄骨などの家の場合、火事の際の耐火性を考えるとあまりおすすめできないという意見を述べている建築家もいます。

要するに、木造住宅だからと言って、鉄筋コンクリート造などの家と比べて極端に耐火性が低いということはないのです。

木造住宅は火災保険の金額が高い

ただ、そうは言っても一般論として木はやはり燃えますので、木造住宅は、鉄筋コンクリート構造の住宅に比べれば、火災に弱いということができます。

このことは、火災保険の金額からもわかります。木造住宅の場合、年間の保険料は、鉄筋コンクリート造や鉄骨造の住宅に比べて約2倍くらいに設定されています。

しかしながら、鉄筋コンクリート構造の家でも全く火災の心配が無いわけではなく、火事が起きれば、燃えますし、鉄筋コンクリートの強度が下がり倒壊したり、延焼したりする危険性はあります。

先ほども説明したように、木材は中の芯まで燃え尽きるまでにかなりの時間が必要になります

今の日本の防災環境では、比較的早く消防車が駆けつけて消化活動が始まりますので、完全に強度が失われるまでには、消火されることも多いでしょう。

また、木造住宅でも、外装に防火サイディングや火が周りに燃え移りにくくなる軒天や、防火戸などを用いることで、延焼を防ぐことができます

木造住宅で、万が一火災が発生した場合でも、ある程度の安全な時間は確保することができるので、安避難するまでの充分な時間を稼ぐことができます。

耐火性が低いという理由だけで、木造住宅を選択肢から外すのはあまり得策とは言えません。

日本の多くのハウスメーカーは木造住宅をメインの商品として扱っており、耐震・防火対策の技術も日々進化させているので、木造住宅でも十分に安全なマイホームを建てられることができます

各社のカタログに最新の防火対策などが掲載されていますので、一度、まとめて資料請求して比較検討してみてください。

きっと、各ハウスメーカーの最新の防火技術を見れば、木造住宅が火事に弱いという常識が覆されると思いますよ。

管理人 文字実
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文字実

株式会社シグマ・デザイン社長。住宅や資格など様々なジャンルの専門家であり、大手メディアでユーザー目線に立ったわかりやすい記事を書いているWebライター。WebマーケティングやWebプログラミングなど、Webまわりの専門家。

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