
Q値とUA値で家の性能や住宅会社の技術が分かる
家を建てるというのはいろんな意味で人の人生に大きな影響があります。その人自身だけではなく、その家族の幸せにも影響するほどの人生における一大イベントです。
だからこそ、皆さんには絶対に家づくりで成功して欲しいわけですが、多くの人にとって家を建てるというのは一生に1度しかないことであって、経験と知識が絶対的に足りていないのが現実です。
また、建売住宅ではなく注文住宅の場合には、完成品を見ることができないために、他の一般の商品の買い物のように実物を見て買うこともできません。
さらに悲しいことなのですが、建築業界の悪習として、ハウスメーカーや工務店などの家を建てる側の倫理観・道徳観が低く、真剣にお客様である私たち消費者のことを考えてくれる会社が少ないです。
そこで、このページでは家作りに関する素人でも簡単に、家の性能やハウスメーカー・工務店の技術を知ることができる方法をご紹介します。
これから家を建てると人は、これを知っているだけでも大きな失敗が無くなりますので、必ず最後まで目を通して下さいね。
それは、各ハウスメーカーのQ値とUA値を調べることです。
Q値とUA値については、後ほど分かりやすく詳しく説明するのでご安心下さい。
東京などの一般的な地域で、UA値が最低でも0.87以下であることが必要です。ベストは0.6以下です。
北海道や東北地方などの寒冷地では最低でも0.46以下、ベストは0.4以下です。
Q値もUA値も低い方が家の断熱性能が高いということになります。値が低ければ低いほどいいわけです。
詳しい地域別の推奨UA値はこのページの下の方に記載しています。家を建てる予定の地域で最低限必要とされるUA値は必ずチェックしておきましょう。
それでは、これから分かりやすくQ値とUA値について説明します。これから家づくりをする人にとっては必ず役に立つ知識です。
Q値とUA値で家の断熱性能・省エネ性能が分かる
まず、Q値ですが正確には熱損失係数と言い、家の断熱性能が分かります。
住宅などの建物は、建物内と建物外で熱が伝導します。
通常の家の場合、熱の出入り口となるポイントは、外壁、窓(サッシ)、天井(屋根)、床、換気の5つです。
夏は熱い空気や日光によって、屋根、外壁、窓などから住宅の中に熱が伝わって家の中が熱せられます。
反対に冬は、家の中のストーブやエアコンなどの暖房器具で暖められた空気が、窓などから外に伝わって住宅内の熱が外にどんどん逃げていきます。
この熱の損失量の合計(W/K)を建物の延べ床面積で割った数値がQ値です。
分母の延べ床面積は常に一定ですので、分子の建物から逃げていく熱損失量の値が大きくなるほどQ値は大きくなり、反対に熱損失量が少なくなればQ値は小さくなります。
当然、熱損失量は少ない方が断熱性能が高いということになるので、Q値は低い方が断熱性能が高く、良い家だということになります。
次にUA値です。UA値は外皮平均熱貫流率と呼ばれており、Q値と同じく家の断熱性能を表す数値です。
Q値の違いは熱損失量を延べ床面積ではなく、建物の外皮面積で割ることです。
建物の外皮というのは、建物が外気に接する部分の事で換気による熱損失は含みません。
例えば、屋根、外壁、窓などの開口部、基礎の立ち上がり部分などです。
UA値もQ値と同じように、値が低ければ家の断熱性能が高く良い家であるということになります。
以前はQ値がよく使われていましたが、最近はUA値を使うことが多くなっています。ただQ値を使っている住宅メーカーもあるので、一応両方知っておきましょう。
いずれにせよQ値もUA値も家の断熱性能を表す数値で低い方が断熱性能が高く良い家だということになります。
計算式としては、それぞれ以下のようになります。
Q値 = 建物から逃げていく熱損失量(W/K) / 建物の延べ床面積(㎡)
UA値 = 建物から逃げていく熱損失量(W/K) / 建物の外皮表面積(㎡)
家を建てようとする時に悩むポイントの1つとして、どのハウスメーカーや工務店などの住宅会社に依頼するかというのがあります。
何度も申し上げていますが、注文住宅においては住宅会社選びで家づくりの成否が決まると言えますので、ハウスメーカーや工務店を選ぶ時には、まずその住宅メーカーの技術を知るためにQ値またはUA値は必ず調べましょう。
Q値とUA値は、水筒の魔法瓶をイメージすれば分かりやすいでしょう。
しっかりした魔法瓶だと、暖かい飲み物や冷たい飲み物を入れて外出して何時間経った後でもその温度が保たれていますよね。
もしどこかに穴が空いてたりして欠陥があると、冷たい飲み物はぬるくなってしまいますし、暖かい飲み物は冷たくなってしまいます。
Q値やUA値が低い建物は、建物全体がしっかりとした魔法瓶のような状態です。
冬は一度温めると長時間暖かく、夏は一度冷やすと長時間涼しい状態が保てます。
これが快適に過ごせる本当に良い家の絶対に必要な条件です。
断熱性能が高いので、夏のクーラーや冬の暖房の利用を最低限に抑えることができるので、電気代を低く抑えることができ、省エネにも役立ちます。
月々の電気代で数千円とか場合によっては、1万円くらい節約できることもあります。
それが1年、10年、30年となれば、非常に大きな金額の差となってきますので、Q値とUA値は本当に大切です。
Q値とUA値の目安として平成25年より国土交通省が義務付けている改正省エネルギー基準の地域区分を掲載しておきます。
先ほどのUA値が最低でも0.87以下、ベストは0.6以下が必要というのはある根拠があるのです。
0.87以下というのは国土交通省が2013年(平成25年)に定めた省エネルギー基準なのです。
一応、0.87以下だとその基準は満たしているのですが、日本の基準は世界の基準からすると緩いので、それを満たしているだけでは十分とは言えません。
そこで、目標とするのが2015年に経済産業省が目標として定めたZEH(ネットゼロエネルギーハウス)基準です。
ZEH基準はより厳しい基準なのですが、今から家を建てるのであれば、数十年後にも快適に住めるように、また資産価値を保つために、このZEH基準をクリアしていることが望ましいのです。
地域 | 平成25年基準 | ZEH基準 |
---|---|---|
北海道 | 0.46 | 0.4 |
青森県、岩手県、秋田県 | 0.56 | 0.5 |
宮城県、山形県、福島県、栃木県、新潟県、長野県 | 0.75 | 0.6 |
茨城県、群馬県、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、富山県、石川県、福井県、山梨県、岐阜県、静岡県、愛知県、三重県、滋賀県、京都府、大阪府、兵庫県、奈良県、和歌山県、鳥取県、島根県、岡山県、広島県、山口県、徳島県、香川県、愛媛県、高知県、福岡県、佐賀県、長崎県、熊本県、大分県 | 0.87 | 0.6 |
宮崎県、鹿児島県 | 0.87 | 0.6 |
沖縄県 | 0.87 | 0.6 |
※全てUA値で、それ以下の数値が必要。
日本の戸建て住宅には断熱義務が無いので夏は暑く冬は寒い家が多い
日本の戸建て住宅のイメージとして定着しているのが「夏は暑く冬は寒いです。」
夏は熱気がこもりエアコンがないととてもじゃないけど暮らすことができない。
冬はすきま風がピューピュー吹いて部屋が全然暖かくならない。最悪の場合には家の中で白い息が出るというような場合もあります。
日本の戸建て住宅の断熱性能は先進国の中でも低く、ヨーロッパ、アメリカ、韓国、中国などと比べても劣っています。
特にイギリスは進んでおり住宅の最低室温が18度以上になるように定められています。
住宅の室温が18度以下になると、以下のような健康被害があるという研究結果があります。
- 18度未満:血圧上昇、循環器系疾患のリスク
- 16度未満:呼吸器系疾患のリスク
- 9〜12度:血圧上昇、心臓疾患のリスク
- 5〜8度:低体温症のリスク
我が国の戸建て住宅は前年ながら今でも断熱性能の低い家がたくさん作られています。
お風呂からの出入りの際によく起こるヒートショックによる死者数もいまだに多いです。
ヒートショックは、急激な温度差によって血圧が大きく変動し、失神、心筋梗塞、脳梗塞などを引き起こす症状です。
それが原因で突然死したり浴槽の中で溺死したりする危険性があります。
日本では年間1万人以上の人がヒートショックが原因で亡くなっていると考えられています。
断熱性能の高い家、つまりQ値とUA値が高い家は命をも守ってくれる素晴らしい役割も果たしてくれるのです。
逆に断熱性能が低い家、つまりQ値とUA値が低い家は命を落とす危険すらも存在する危険な家ということになります。
こちらの記事で書いてるように、住宅展示場に行く前に各社のカタログを問い合わせて、Q値とUA値を調べておきましょう。
