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南向きという常識にこだわらない。北向きの土地でも設計と間取りを工夫すれば安く家を建てられる。
皆さんも一度は聞いた事があると思いますが、一般に土地は南向きの道路に接している方が良いと言われています。
理由は、南向きの方が北向きよりも太陽の光を多く取り入れる事ができるからです。
実際多くの人が、この常識に従って行動するため、南側が道路に接している土地は北側が道路に接している土地よりも約5%〜15%くらい高い価格になっている事が多いです。
また、東側道路に接する土地と西側道路に接する土地では、太陽が東側から昇ってくることから、東側道路に接する土地の方が高い価格になっている事が多いです。
下の図の番号は、土地の価格が高い順番を表しています。
この知識は土地を探す時や分譲住宅を買う時に、すごく役立つ知識なので、ぜひ覚えておいて下さい。
一般的には、南側道路の土地の方が良いと言われているのですが、その常識にとらわれ過ぎないのが上手に土地を探す時のコツです。
どんな事でもそうですが、その世界で常識と言われていることを疑ってみたり、少し見る角度を変える事で、デメリットがメリットになる事が多いです。
北側道路の土地にもいくつかメリットがありますし、建物の設計や間取りをうまく工夫すれば、安く土地を買って理想のマイホームを実現する事が可能です。
北側道路の土地のメリットとして以下のようなものが挙げられます。
- 南側道路の土地と比べて価格が安い。
- 土地を探す時に数が多いのでたくさんの土地から選ぶ事ができる。
- 外側(道路側)からのプライバシーを確保しやすい。
- 北側斜線制限を受けにくいので、高さ(空間)を活用できる。
これから一つずつ説明していきますので、特に予算を少なめにしてマイホームを建てたいという人はぜひ参考にして下さい。
北側道路の土地のメリットをうまく利用しよう。
それでは、一般的にはあまり良くないと言われている北側が道路に接する土地のメリットを1つずつ説明していきます。
1.南側道路の土地と比べて価格が安い。
先ほども書きましたが、北側が道路の土地は、南側が道路の土地に比べて約5%〜15%くらい価格が安いです。
また、西側が道路の土地は、東側が道路の土地に比べて価格が安いです。
上の図の番号が価格の高い順番を表しています。
一般に南側の土地が良いと言われている理由は、南から太陽の光が入ってくるからです。
ということは、日光さえうまく家の中に取り入れる事ができれば、北側道路の土地でも特に問題は無いという事です。
家族がたくさんの時間を過ごすのは主にリビングとダイニングですので、リビングとダイニングを南側に配置する間取りにする事で、うまく日光を取り込める場合があります。
例えば、日光の入りやすい2階の南向きにLDKと寝室を配置した間取りだと、このようになります(↓2階部分の間取り)。
また、「Q値とUA値で簡単に家の性能が分かる」のページで詳しく書いていますが、窓のサッシを断熱性能の高い樹脂にしたりする事で、断熱性と気密性を高めれば、日照量が比較的少なくても家の中を暖かく保つ事ができます。
このように間取りや設計でうまく工夫をすれば、北側道路の土地でも快適で住みやすい家を建てる事ができます。
間取りや設計を工夫して、あえて北側が道路に接する土地や角地ではない土地を買う事で、少ない予算で良い家を建てる事ができます。
ハウスメーカーのカタログなどを貰えばたくさんの建築実例や間取りプランなどが載っているので、それらを参考にして、事前に勉強しておくと、土地を探す時にとても役立ちます。
ハウスメーカーのカタログや資料を集める時は、インターネットから申し込むと時間も労力も節約できて便利ですよ。
こちらにも詳しく書いていますが、モデルハウスの見学に行く前に、資料を取り寄せて目を通しておくことをおすすめします。
2.土地を探す時に数が多いのでたくさんの土地から選ぶ事ができる。
多くの人が南向きの土地が良いと思っているので、どうしても南向きの土地から売れていくことになります。
また、南向きの土地に住んでいる人は、良い土地を買う事ができたと思っているので、手放して売りに出す人が少ないです。
実際に土地を探し始めると分かるのですが、自分が理想とするような良い土地というのは、なかなか見つかりません。
理由は簡単で、自分が良い土地だと思う土地は、他の人も良い土地だと思うので、すぐに売れてしまうからです。
でも、間取りなどで上手く工夫する事を前提に、南向きにこだわらず北側道路の土地にも目を向けると、候補となる土地を見つけやすいです。
他の人が見向きもしないような土地でも、上手く間取り・設計を工夫する事で、安くお宝のような土地を見つけられる可能性が高まるのです。
3.外側(道路側)からのプライバシーを確保しやすい。
多くの場合は、家族がたくさんの時間を過ごすリビングやダイニングが日光の入る南側に配置されます。
すると南側が道路に面する建物の場合、道路を通行する人が家の中を見る事ができるため、木を植えたり、レースのカーテンなどで視線を遮る必要があります。
他方で、北側道路の建物の場合、南側は隣家なので、少し窓をずらすなど、少しの工夫をするだけで大開口を設けても、簡単にプライバシーを確保する事ができます。
プライバシーを確保しながら、日光が入ってくる南側のリビングやダイニングに大きな窓が作れると、明るく開放感があって、とっても気持ちのいい家になります。
北側道路の土地は、北側斜線制限を受けにくいので高さの空間活用ができる。
それでは、北側道路の土地のメリットの最後の4つ目です。
4.北側斜線制限を受けにくいので、高さ(空間)を活用できる。
家を建てる時には、建築基準法などの法律によって様々な制限を受けます。
その1つに「北側斜線制限(建築基準法56条1項3号)」というものがあり、それによって建物の高さが制限されます。
北側斜線制限は、ちょっとややこしいのですが、簡単に一言で言うと、北側にある隣家の日照を確保するために、北側方向に向けて建物を高くすることが制限されるということです。
南側道路の土地の場合、北側には隣家が建っていることになるので、北側斜線の制限を受けやすく、高い建物を建てにくいことなります。
他方で、北側道路の土地の場合、北側は道路ですので、北側斜線の制限を受けにくく、高い建物を建てやすいことになります。
他にも様々な高さに関する制限はあるのですが、北側斜線制限に限って言えば、北側道路の土地の方が南側道路の土地よりも高い建物を建てやすく、空間をより有効活用できるのです。
空間を上手く利用した間取りにする事で、一般的には良くないと言われている土地でも、十分に理想の家を建てる事ができます。
最近は、屋上を庭園やパーティースペースにするなどして、空間を活用した設計をウリにしているハウスメーカーが増えてきています。
各ハウスメーカーがラインナップしている商品に一通り目を通して、どんなデザインや間取りプランがあるのかを知っておくと、土地探しをする時にも役立ちます。
家作りを成功させるには、しっかりとした準備をして知識をたくさん持っておく事が大切です。
たくさんの間取りや設計プランが頭に入っていれば、実際に土地を見に行った時に、その土地にどのような建物を建てることができるかなどを具体的にイメージできます。
それができれば、他の人が見向きもしないような割安の土地でも、間取りや設計を上手に工夫することで理想のマイホームを建てられる事に気づくことができます。
多くの場合、マイホームを建てるための予算の大部分は土地に取られます。
土地を安く買うことができれば、結果として安く理想の家を建てられる事になりますので、マイホーム作りにおいては、必ず土地と建物をセットで考えるようにしましょう。
