
家賃並みで家を買えるというのは半分ウソだ!
不動産の広告チラシでよく目にする「月々5万円〜。家賃並みの支払いでマイホームが買える。」というキャッチコピー。
この言葉にドキッ!とさせられて、実際に家を買おうと検討をしたことがあるひとは多いでしょう。
でも、これって本当なのでしょうか?
このページでは、本当に家賃並みのローンの支払いで家を買うことができるのかを詳しく説明します。
これを知らないで、住宅のチラシを鵜呑みにして家を購入してしまうと、後で、大変なことになって後悔する可能性があります。
最悪の場合には支払いができなくなって、家を手放さなくなる危険性もありますので、ぜひ最後まで目を通して下さいね。
結論から申し上げると、月々の支払いが家賃と同じくらいで家を買えるというのは、半分本当で半分ウソという感じです。
物件によっては、賃貸よりも安い月々の支払いで買えるものもありますので、全てがウソではありません。
ただし、注意しなければならないカラクリが3つあります。
1つ目のカラクリは、「返済期間が35年」で計算されていること。
2つ目のカラクリは、「ボーナス返済有り」のプランで計算されていること。
3つ目のカラクリは、「2〜3年の固定期間選択型ローンまたは変動金利」で計算されていることです。
これからこの3つを1つずつ詳しく説明していきます。
返済期間が最長の35年で計算されている
住宅ローンに限らず、分割払いというのは、支払いの期間を長くすればするほど、支払い回数が増えるため、月々の支払金額は少なくなります。
これは、自動車ローンでも同じですね。
自動車ローンの場合、最長で7年くらいのローンしか組めませんが、住宅ローンの場合、最長で35年のローンを組むことができます。
この最長の35年でローンを組むという前提で計算すれば、毎月の返済額は当然、最も小さくなります。
このカラクリを利用して、不動産広告のチラシに表示されている毎月の返済額というのは、ほぼ100%が35年のローンで試算されています。
もし、あなたが30歳以下だった場合、35年後はギリギリ一般的な定年退職となっている65歳で、まだ安定した収入があるでしょう。
しかし、30歳以上の場合は、定年退職した後もローンの返済が続くことになりますので、本当にそれを支払うことができるのかを真剣に考える必要があります。
40歳以上の場合、35年ローンを組むと完済するのが75歳以上ということになりますので、一般の人にとってはあまり現実的ではないということがわかるかと思います。
例えば、資産家で配当収入や家賃収入などの何らかの安定収入がある人、自分で会社を経営していたり、医者や弁護士など定年退職が無い人の場合には、40歳以上で35年ローンを組んでも大丈夫な場合もあるかと思います。
大事なことは、自分の年齢と将来の安定収入についてじっくりと考えて、どれくらいの期間で完済するのが現実的なのかというのを考えることです。
そして、その期間でローンの借り入れをした場合、月々の支払いはいくらになるのかを試算してみることです。
次に、第2のカラクリです。
返済期間が最長の35年で計算されている
一般的な住宅ローンは、毎月決まった金額を支払い続けていきますが、中にはボーナス併用払い(ボーナス払い)という住宅ローンがあります。
ボーナス併用払いというのは、毎月決まった金額を支払っていくのですが、ボーナス月だけはいつもより大きな金額を返済するという方法です。
ボーナス併用払いは、毎月の返済額を少なくすることができるというメリットがありますが、その分は結局ボーナス月に支払わなければなりませんので、それほど大きなメリットとは考えられません。
賃貸で家やマンションに住んでいる場合、家賃は一定のはずで、ボーナス月だけ家賃が高くなるなんてことはありませんよね。
とすれば、毎月の支払いとして試算する際には、ボーナス併用払いで試算してはならないはずですが、住宅のチラシに記載されている毎月の支払額は、ボーナス併用払いで試算された金額になっていることが多いです。
これは、本当に注意が必要です。
公務員などで、安定していて、確実にボーナスももらえるという人は、ボーナス併用払いでも、まだ大丈夫かもしれませんが、今の時代は、大企業ですら数年先のことなんてどうなっているか誰にも分かりません。
それなのに、ボーナス併用払いの住宅ローンにしてしまうと、ボーナス月が支払えなくなる危険性がかなり高いのです。
なので、実際には、ボーナス併用払いではない住宅ローンを利用する人が多いのですが、そうすると、毎月の支払額がぐんと高くなります。
広告のチラシに書いてある金額とはかけ離れた返済額になりますので、この点は本当に要注意です。
次に3つ目のカラクリです。
金利は変動するので毎月の支払額も変動する
住宅ローンは、他のローンに比べると金利は低いですが、非常に大きな金額を長期間にわたって借り入れることになるため、少しの金利の変動で支払わなければならない利息の金額が大きく変動し、毎月の支払額も変わります。
住宅ローンにもいろいろな種類があります。
その中でも、固定期間選択型ローンや変動金利ローンは、表面的・一時的には金利がとても低く見えるので、どこの銀行もその商品を積極的に宣伝していることが多く、私たちが見たり聞いたりする住宅ローンは、ほとんどがそのどちらかです。
ただし、固定期間選択型ローンや変動金利ローンは、名前の通り、固定期間が終わったりして、金利が変動すると、毎月の返済額がぐんと上がることがあります。
借り入れから完済まで、ずっと同じ金額を支払えばいいというわけではなく支払額が変動するのです。
例えば、3000万円の借り入れをして最初の10年間が固定金利で0.7%、11年目から1.2%に上がったとします。
当初10年間の月々の返済金額は80,556円ですが、11年目からは85,553円と約5,000円も毎月の負担が増えることになります。
固定期間選択型ローンで、当初金利が最優遇の金利に設定されている場合、固定期間が終わった後は金利が上がり、毎月の返済額も増えますが、不動産のチラシなどではそのことは一切考慮されていません。
なので、実際に支払う金額は、チラシに書いてあるものよりもかなり多くなるのが通常です。
これを理解しておかないと不動産屋の広告に騙されてしまいます。
以上、3つのカラクリを理解して、住宅の甘いキャッチコピーに騙されないようにしましょう。
反対に、この3つのポイントさえ知っていれば、それを前提にした上で、自分にとって現実的で、最適な住宅ローンを選択して試算すれば大丈夫です。
