
転職の面接では、企業が応募者を選ぶという面が強いですが、こちらから企業を選ぶという場でもあるので、少しはその感覚も持つようにすることが大事です。
たしかに、採用の可否を決める権限は企業側にあるのですが、内定をもらった後に、最終的に入社するかどうかをきめる権限はこちら側にあるのです。
転職の面接では、自分を企業にアピールすることも大事ですが、「本当にこの会社でいいのか?」を判断する情報収集の場としても大事なのです。
何か疑問があったり、不明な点がある場合には、面接でこちらから確認するようにしましょう。
面接で「こちらからいろいろと質問をすれば、悪い印象を与えるのでは?」と心配する人もいるかもしれませんが、大丈夫ですので安心して下さい。
むしろ質問の仕方や質問の内容によっては、やる気のある人と評価される場合もあります。
また、面接の現場で受けた印象というのは、実際にその企業に入社してからの印象と似ている事が多いので、面接の現場で受けた感覚というのは大切にしましょう。
今回は、面接で面接官から「何か質問はありますか?」と聞かれた場合などに、こちらから質問をする方法を説明します。
目次
入社後は具体的にどんな仕事をするのか?
入社したら具体的にどんな仕事をする事になるのかは、面接の段階で必ず確認するようにしましょう。
その確認ができていないと、面接の段階では、事務職として働く話になっていたのに、入社してからは、営業をやらされたなどと、不満を言わなければならないようになったりします。
一番良いのは、面接の段階で、入社してから一緒に働くことになる人と会わせてもらえることなのですが、実際には、人事の採用担当者や社長としか会わない場合も多いです。
社長との面接しか無い場合には、特に注意が必要です。社長は、会社の理念などを熱く語ることが多いのですが、現場はその理想についていけておらず、社長の想いと現実が全然違ったということが多いのです。
基本的に、社長の話は話半分で聞いておく方が良いでしょう。
もし、一緒に働く事になる現場の社員と会わせてもらう機会が無ければ、「現場の社員の方に合わせてもらうことは可能ですか?」と質問してみるようにしましょう。
応じてもらえない場合には、入社してから不満を感じることになる可能性が高いので、応募をやめるというのも1つの選択肢です。
入社してから、具体的にどのような仕事をするのかはとても大切な事ですので、必ず確認するようにしましょう。
例えば、「求人欄にマーケットリサーチと書いてありましたが、具体的にはどのような仕事をするのでしょうか?」などと質問しましょう。
マーケットリサーチと書いてあったのに、入社してからテレアポの営業をやらされるという事も多いので、仕事内容が抽象的だったりあいまいな場合には、特に確認が必要です。
後ろ向きな気持ちが伝わるような質問にならないように
例えば、「仕事内容にマーケットリサーチと書かれていたのですが、これはいわゆるテレアポの営業のことでしょうか?」というような質問の仕方はしないようにしましょう。
こういう質問の仕方をすると、「この応募者はテレアポの営業はしたくないんだな。」と思われてしまい悪い印象を与えてしまいます。
本当に、どうしてもその仕事がしたく無い場合は、そのような質問をしてもいいのですが、質問の仕方には一応注意をしましょう。
給料はいくらもらえますか?
現実問題として、給料がいくらなのかは転職先を選ぶ際の重要な指標の1つになります。
給料がいくらもらえるかについては、面接の最終段階や内定後など、応募者が最終的に入社するか否かを決める前の段階のどこかで教えてもらえる事が多いです。
ところが、最後まで給料の話をしてこない企業というのも一部あります。
その場合には、内定が出てから入社を決めるまでに必ず確認を取るようにしましょう。
面接の初期の段階で、こちらから給料の話を持ち出すのは印象が悪いですが、内定が出てからこちらから聞くのは全く問題無いですし、むしろ確認を取らなければなりません。
求人情報に書かれている給与というのは、あくまで目安であり、自分が実際にもらえる給料とは違います。
20万円〜30万円のように、幅を持たせて書かれている場合には、その下の方と考えておいた方がいいでしょう。
「求人情報に書かれていた給与がもらえる」と勝手に判断せずに、必ず最終的に入社を決めるまでに「具体的にいくら給料をもらえるのか?」は確認するようにしましょう。
残業や休日出勤はどれくらいありますか?
残業や休日出勤の有無や量については、業界・職種によって大きく異なります。
応募する前の段階でも、その企業と同じ業界・職種で働く人に聞いてみたり、インターネットで調べたりする事である程度は調べることができます。
あくまで一般論ですが、最近の全体的な傾向としては、残業や休日出勤は減らす傾向にあります。
しかし、ベンチャー企業や中小企業、特定の業界においては、今でも大量の残業や休日出勤が常態化しているところもあります。
育児、介護など何らかの理由でどうしても、残業や休日出勤に対応できない場合には、会社選びの段階で、残業や休日出勤が少ない会社を探しましょう。
また、場合によっては、アルバイトやパートなどの雇用形態を選択することも大事です。
質問の仕方には注意が必要
残業や休日出勤についての考え方は、本当に様々で企業によって異なります。
相手の会社の文化も理解した上で、慎重な聞き方をするようにしましょう。
例えば、「入社させて頂くこと事ができれば、早く仕事を覚えて、他の社員の方たちと同じように仕事ができるようになりたいと思っています。社員の方たちは、いつも何時頃までお仕事をなさっていますか?」などと聞くようにしましょう。
ストレートに「残業や休日出勤はどれくらいありますか?」と聞くと、面接官に「この人は残業や休日出勤が嫌なんだな。」と思われてしまう可能性があります。
結婚、出産後も仕事を続けることができますか?
女性の場合、結婚・出産後も仕事を続けたいと思っている人は、この質問は必ずしておきましょう。
この質問は、企業に嫌がられると思っている人も多いようですが、今すぐ結婚や出産の予定は無いということを前提にすれば、こちらから積極的に質問しても基本的には大丈夫です。
女性社員の結婚・出産に対する会社の考え方を知る良い方法は、前例があるかどうかを聞くことです。
例えば、「結婚・出産後も働きたいと考えているのですが、御社の女性社員の方で仕事と育児を両立されている方はいらっしゃいますか?」などと聞けば良いでしょう。
実際に、そういう女性社員がいるという場合には、問題無いと考えて大丈夫です。
ただ、今でも、一部の企業では、女性社員は結婚・出産したら会社を辞めて専業主婦になるのが当然と考えているところがあります。
そういう会社はできれば、避けた方がいいので、質問をした時の、面接官の態度をしっかりとチェックしておくと良いでしょう。
少しでも嫌悪感を示すような態度が見えた場合には、その会社は応募を辞退することも考えましょう。
会社の理解がないと仕事と育児の両立は現実問題として難しいので、入社したとしてもすぐに辞めることになる可能性が高いです。
最近は、女性や既婚者ということで転職に不利になることは減っている
最近は、女性の社会進出が増えて当たり前になってきているので、女性だからといって転職活動で不利になるということは基本的にはありません。
「既婚の女性は転職で不利になる」とか「30歳以上の既婚者だと出産などですぐに辞められる可能性があるので不利になる」ということが言われていた時代もありましたが、現在は、女性や既婚者という事で不利になることはまずありませんので安心して下さい。
まだ、一部でそのような考えを持った会社もあるかもしれませんが、仮にそのような会社であれば、できるだけ関わらない方が良いでしょう。
面接で育児休暇制度についての質問は控えるのが無難
仕事と育児の両立を考えている女性の多くは、会社の育児休暇制度がどうなっているかや、実際にどれくらい利用されているかを知りたいでしょう。
確かに、制度がどうなっているかや実際の活用例などは、会社の女性社員に対する理解の深さを知る事ができる重要な指標です。
しかし、面接の段階でそのことについてストレートに質問するのは、できるだけ避けるようにしましょう。
「育児休暇制度はどうなっていますか?」「育児休暇制度はどれくらい活用されていますか?」とストレートに質問してしまうと、面接官にとっては、「最初から制度をフル活用して休む気のある人」だなと思われてしまう危険性があります。
さきほど説明したように、会社の前例を聞くような質問の仕方をするのがベターです。
ノルマはどれくらい?
とりわけ営業職を希望する人の場合ですが、毎月どれくらいのノルマが課せられるのかは、とても気になることだと思います。
営業職では、基本的にどこの会社でもノルマがあると考えた方がいいのですが、中には、非現実的なノルマを社員に課しているようなブラック企業があります。
このような企業は、当然ながら非常に離職率が高いので、注意が必要です。
転職活動で応募企業を探すときには様々な方法がありますが、もし、ハローワークを利用しているのだとしたら、ハローワークでその企業がブラック企業かどうかを簡単に調べられます。
ハロワークで、「この会社はブラック企業ですか?」と質問すれば、向こうも答えようがありませんが、「この企業は、以前にも求人を出していましたか?」と聞けば、ハローワークにはデータが残っていますので教えてくれます。
頻繁に求人を出している企業であれば、離職率が高いという事です。
募集している職種が営業職で、頻繁に求人を出している企業は、非現実的で過酷なノルマを課している可能性が高いので避けると良いでしょう。
民間の転職情報誌や転職情報サイトでも、ある程度の期間ウォッチしていると、常に営業職の求人を出している会社があります。
そういう企業は注意する必要があります。
また、ノルマについて質問した時に、面接官が言葉を濁したりするような態度を取った場合、その会社は厳しいノルマを課している可能性がありますので、面接官の反応も注意深くチェックしましょう。
前向きな姿勢を示しながらノルマを聞くようにする
ノルマについて質問する時には、まず、ノルマに対して前向きな姿勢であることを示してから、質問するようにしましょう。
単純に「ノルマはどれくらいですか?」と質問すると「ノルマを達成する自信がないのか?」と思われてしまう危険があるので注意が必要です。
面接官としては、とにかくやる気がある人、絶対にノルマを達成してやると意気込んでいる人を採用したいと思っているので、悪印象を与えてしまいかねません。
例えば、「ノルマは業務のモチベーションを維持するのに有効だと考えていますが、だいたいどれくらいの数値目標を設定されているのでしょうか?」のように質問すると良いでしょう。